薬膳の考え方②~気・血・水のバランスが体質を決める

2021年7月28日

私たちの身体は、数多くの器官、細胞によって構成されています。それらを動かし、各器官に必要なものを送り、動かしているのが、気・血・水です。

それぞれが常にバランスを保ち、コントロールし合うことで生理機能を円滑にしています。

これらがスムーズに巡っていれば体全体のバランスがとれますが、どれか1つでも不足または滞れば歯車はうまく回らず、3つのバランスが崩れることで体や精神が不調を来すと考えられています。

 

「気」は、人間の目に見えない存在で、生命を維持するエネルギーと考えられています。

日常生活の中で「元気がない」「気持ちが良い」「病は気から」という表現を使っていますが、気が衰えると病気にかかりやすくなるのです。

気の働き

  • 推動作用: 書く、読む、食べるなどの動作や行動をさせる。血・津液・排泄物を押し動かす、臓腑機能を促進する
  • 温煦(おんく)作用: 身体を温め、体温を維持する
  • 防衛作用: 体表を保護して外界からの病気の侵入を防ぐ
  • 固摂作用: 血や水が不必要に体外に漏れないように防ぐ
  • 気化作用: 汗や尿・便などの生成・排泄調整

気の乱れによる体質・症状

「気」が衰えたり、バランスが崩れると、「気虚」や「気滞」といった状態になります。

気虚

「気虚」は気の不足あるいは気の機能が減退した状態。臓腑機能の低下や抵抗力の減退などが生じます。
次のような症状があれば、気虚の状態かもしれません。

  1. 疲れやすい
  2. 手足が冷たいと感じる
  3. 舌が淡白色で、周囲に歯の痕が残る
  4. 風邪をひきやすく、治りにくい
  5. 食が細い
  6. 下痢しやすい
  7. トイレが近い
  8. 汗をかきやすい

気虚の場合、冷たいものや脂っこいもの、苦いものを食べ過ぎないようにし、胃腸の負担を減らして規則正しい生活を心がけましょう。

●気虚に適した食べ物: 身体を温め、気を補う食材 → 米、豆類、イモ類、牛肉、鶏肉、ウナギ、海老等。

気滞

「気滞」は気の巡りが停滞した状態で、自律神経失調の症状と同じように考えられます。次のような症状に当てはまると、気滞の状態が考えられます。

  1. 落ち込みやすい、鬱になりやすい
  2. 怒りっぽい
  3. 便意があるのに便秘気味
  4. 感情の変化で頭痛に悩まされる
  5. イライラする
  6. ため息が出やすい
  7. 胃や腸が張ってガスが出る
  8. 生理痛がある、乳腺が張って痛い

気滞の場合は、生活リズムを整え、日光浴をしたり呼吸を意識し、適度な運動をするなどのストレス解消を心がけると良いです。

●気滞に適した食べ物: 「肝」の機能を調節する食材や、かんきつ類など酸味のある食材が必要です。

 

「血」は栄養素を豊富に含んだ液体で、生命活動を維持する基本物質のことです。

飲食物から得た栄養素と体内に取り込んだ精気(酸素)とが結合してできたもので、いわゆる血液そのものだけでなく肉体の栄養物質に至るまでを指します。

血の働き

  • 栄養・滋潤作用:  全身の各組織を栄養、滋潤する。脈管の中を運行して全身に行き渡らせる
  • 精神活動:       血の過不足が精神や意識、感情面に影響する
  • 精に転化:        血の一部は、気の気化作用で精に転化する

血の乱れによる体質・症状

「血」が不足したり、バランスが崩れると、「血虚」や「瘀血」といった状態になります。

血虚

「血虚」は、体内の血生成の低下、あるいは出血等により血が不足した状態です。

  1. 皮膚がカサカサしてツヤがない抜け毛
  2. 抜け毛、白髪が多い
  3. 舌の色が淡白
  4. 目が疲れやすい
  5. 爪が白っぽい
  6. めまい、立ち眩み
  7. こむら返りがよくある
  8. 眠りが浅い、不眠

無理なダイエットや食事内容を疎かにしている場合でも血虚になりがちです。朝食もしっかり摂りましょう。

●血虚に適した食べ物:「血」を補う食材が必要です → 鶏肉、牡蠣、ニンジンなど

瘀血(おけつ)

「瘀血」は血の循環が停滞した状態(いわゆる血行不良)。血液成分の異常、外傷や炎症による出血やうっ血などがそうです。以下の症状がある場合は、瘀血の状態かもしれません。

  1. 顔や唇の色が紫がかっている
  2. 顔にシミやそばかすが多い
  3. 舌の色が紫っぽい
  4. 夜間の頭痛に悩まされる
  5. 生理痛が重く、色が黒っぽい
  6. 痣ができやすい
  7. 胸が痛む、不整脈がある
  8. 下肢静脈瘤がある

瘀血の場合、血行を良くするための適度な運動を心がけると良いでしょう。特に同じ姿勢を取り続けるような場合は、時間を決めてからだを動かしましょう。

●瘀血に適した食べ物:「血」の流れを良くする食品を選んでみましょう。イワシやサバなどの青魚や、ニラ、玉ねぎなど。

 

水(津液)

水は、リンパ液など血液以外の体内全ての水分の総称で、「津液」とも呼びます。

その役割は、細胞・組織を潤し、排泄を潤滑にし、体温保持にも関わります。水の運行・代謝には、腎・脾・肺の臓器が深い関係を持ちます。

水(津液)の働き

  • 滋潤・濡養作用: 皮毛や臓腑、関節、靭帯、筋肉に潤いを与える
  • 血に転化: 津液の一部は脈管に入り、気の気化作用で血に転化する

水(津液)の乱れによる体質、症状

「水(津液)」が不足したり、バランスが崩れると、「津液不足」や「水分停滞」に状態になります。

津液不足

「津液不足」は各種組織の乾燥症状で、下痢や嘔吐、発汗過多、過労などで起きます。喉の渇きや尿量の減少、便秘などとしてあらわれます。次の症状に

  1. やせ気味で寝汗をかく
  2. 頬が赤く、のぼせやすい
  3. 舌の色が赤い、舌の苔が少ない
  4. 喉が渇きやすい
  5. 目や口がよく乾く
  6. 便が乾燥している
  7. 尿が少ない
  8. 肌がカサカサする、シワになりやすい

津液不足の場合は、水分の補給を十分に行いましょう。長時間冷房や暖房の中にいる場合も津液不足になりがちです。加湿器なども使って、湿度管理にも気をつけましょう。

●津液不足に適した食べ物: 涼性の食品、渇きを癒す食品を多くすると良いです。水分豊富な野菜や果物、ネバネバした食品がおすすめです。

水分停滞

水(津液)の代謝に障害が生じると津液が停滞し、身体に不要な(あるいは害を及ぼす)水液に変わります。つぎのような症状の時には水分停滞を疑ってみましょう。

  1. ニキビが出やすい、肌が脂性気味
  2. 太り気味、太っている
  3. 舌の苔が白くて厚い、唾液が粘る
  4. 昼間でも眠い
  5. 痰が良く出る
  6. 軟便、下痢気味
  7. 身体がだるい、むくむ
  8. 中性脂肪やコレステロール値が高い

水分代謝を高めるため、汗をかくような運動をすると良いでしょう。アルコールや脂っこいものは控えめにすると良いです。

●水分停滞に適した食べ物: 「腎」や「脾」にはたらく食品、利尿作用の高い食品が適しています → ハト麦、そば、あずき、白身魚、とうもろこし、冬瓜、きゅうりなど